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「まったく、あなたという娘はそんなかわいい顔をしてよくあんなことができたわね」シェリーの右手にはまだ財布のガマ口の激突した時の痛みが残っている。
財布はまっすぐシェリーの顔に向かってきた。避けるわけにもいかず、取り落とすことは彼女のプライドが許さなかった。結果彼女はしっかりと財布を受け止めゲームは綾の勝利となった。ただ、勝利したところで何があるわけでもない。
「顔は関係ありませんよ」綾は今さっき届けられた豚まんを食べ終え言った。豚まんはまだほんのりと温かかった。
「ほんとうに可愛くない娘ね。後はお茶と一緒に戴きましょ」
シェリーも食べ終え、ハンカチで手を拭うとそれを綾に手渡した。
「でも、わざわざ、ブラックホークを呼ぶもことないでしょうに…」
綾は包み直した豚まんと発泡スチロールの箱を抱えあげた。
「綾あなた、一度見てみたいって言ってたでしょ。急上昇して迎えに来るヘリコプターというのを、せっかくこんないい崖があるんだからそれも面白いかなと思ってね」
「お金持ちのやることはよくわかりませんね」
「ふん、言ってなさい」
2人は歩きだした。
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