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結局何がしたくて彼女があんなことを言い出したのかはわからない。が、俺にとってはなかなかの仕打ちだった。
「下描き始める」
「あいよ、よろしく」
ユウはもうイメージを固めている。焦茶の長髪をなびかせる春色が似合う少女だ。
ヒロは可愛らしい雰囲気を出したくて、茶色のくせっ毛にするつもりだった。
よしやろう、と鉛筆を進め始め…
「……………あれ?ヒロってストレートだったっけ?」
「…あ」
碧馬に言われて手を止める。ユウを描いた勢いでヒロも一気に細かい場所まで描き込み始めたところだった。今更やり直す気も起きない。
「それでその長さだと…前髪は完全にお前の根暗髪だよね」
「…」
「まあ別に僕は構わないよ。そのままやっちゃって」
………なんてこった。
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