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「…おーい、萩?」
「んっ?」
「さっきからずっとボケーってしてるぞ」
俺は、自分が今握っている紙切れを眺めたまま思考を停止していたらしい。
ーーーーでは、次回は構成と挿絵の枚数を決めましょうか。お疲れ様でした。
ーーーーこちらこそありがとうございます。
ーーーーそうだ、秋草先生。アオバ先生の連絡先しか存じ上げませんのでここで交換させて頂いてよろしいですか?
よろしいですか?と聞きながら半強制的にアドレスを書かされ、向こうからは名刺を半強制的に受け取らされた。
「…?深津さんってお前のタイプだったりするの?」
「そういう話は止してくれ…」
否定できないので。
「女性に興味示さないからなー萩は。顔は悪くないのに勿体無い」
せめて前髪切ろうぜ、とグイグイ額を押される。
「根暗髪ー」
「誰が根k…俺か」
「お前だ」
この愛嬌満載の男といるおかげで、余計に辛気臭いツラに見える。
悪い奴じゃねえし…と拒まずつるんでいる内にナカヨシになってしまったんだ、致し方ない、後悔もない。
「そういや、萩はどの場面に絵入れると良さそうとか思う箇所ある?」
「ああ、例えば三章の…」
碧馬のいつの間にか横に居座る身勝手な心地良さは、彼女とよく似ていた。
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