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白クジラにのまれ見知らぬ空間に倒れていたクロケット。
目覚めたクロケットは脱出方法を求めて辺りを調べていると崖のような場所で助けを求めている木製の人形と崖下に落ちかけている少女を見つける。
木製人形「そこのしょうねーん!!頼む!手をかしてくれ!」
クロケット、慌てて助けようと手を伸ばした時に先程の離れていく船がフラッシュバックする。と同時に伸ばした手を戻し立ち尽くしてしまう。
木製人形「何してる!?頼む、このままじゃ落ちてしまう!!」
顔色が真っ青になりうつむいて動けなくなるクロケット。その様子を下から見上げていた少女はクロケットに語りかける。
少女「怖いの?」
少女の声が届き、驚いた表情を浮かべるクロケット。
少女「そっか、辛かったんだね。信じて裏切られるのは嫌だよね。気持ちはわかる気がするよ。」
少女の声はクロケットの心に染み込むように伝わってくる。泣きそうな顔になりながら少しづつ手を伸ばし始めるクロケット。
少女は満面の笑みを浮かべながら……
少女「でもここで私を助けないとあんたはあんたを裏切ったやつらとおんなじになるのよ。嫌でしょ?嫌だよね?というか私は嫌だから、このまま落ちるなんて、いいからさっさと助けなさい!!」
それまでこころに染みていた声がまるで刃になったかのようにクロケットの全身を突き刺し、気がつけば少女をたすけていた。
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