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side 蒼牙
一人になりたい時や疲れた時によく来る気に入っているカフェ。
今まで彼女だって連れて来たことはないこの場所に悠さんを案内した。
より近付けることを望んで。
時折香る悠さんの血に、体が熱くなるのがわかった。
欲しい
触れたい
あの喉に牙をたてて甘い貴方の血を奪いたい…
そんな欲求に襲われる。
ごまかすようにメニューを説明していると悠さんと目が会う。
あまりにも近い場所に貴方の顔があって、慌てて離れた。
目尻は少し下がって、高くはないがすっとした鼻筋。
歯並びが良いのが二ッと笑った時にわかる。
俺の顔を見ていたのか、少し開いた唇に視線がいく。
…キスしたら柔らかそうだな。
別に悪いことをしたわけではないが、自分の邪な考えを隠すように謝った。
そんな俺を見て声を出して笑う悠さんに、笑いすぎですと文句を言うと更に笑われてしまったのだけど。
「秋山くんは今日は仕事だったのか?」
ゆっくりと穏やかな雰囲気のカフェは話がしやすい。
俺達はお互いのことを話し始めていた。
「ええ、○○ホテルの中にあるレストランでウェイターやってます。」
「うわ~似合いそう。…歳はいくつなんだ?」
「23です。」
「若いな…年下だろうとは思ってたけど、5つも下かよ。」
コーヒーを飲みながら俺を見ると二ッと笑う。
ダメです。
その笑い方は俺の心拍数をあげるんです。
そんな俺の内心を知る由もない貴方は、美味いな~なんて言いながら、本当に美味しそうにナポリタンを頬張っている。
時折、唇の端に付いたケチャップを指で拭う仕草に視線を奪われる。
…エロい。
そう考えた時には、もう体が動いていた。
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