4 口付け

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「じゃあ、とりあえず晩飯行こうか。…どうした?」 秋山くんを促し歩き出そうとするが、俺を見つめてジッとしたまま動こうとしない。 「今日は悠さん私服だ。」 「当たり前だろ。いつもスーツじゃないよ。」 笑いとともにそう答える。 そうだよな。初めてあった時もこの間も、仕事帰りだったもんな。 今日は寒いからハイネックにダウンコートを着込み、下はジーンズと簡単な服装で出てきた。 秋山くんだってそんなに変わらない格好だけど、身長が高いからまるでモデルみたいだ。 「私服が見れた。嬉しいです。」 「なんだそれ、いいから行くぞ。」 付き合いたての彼女みたいなこと言うな、恥ずかしい。 俺は少し赤らんだ顔を隠すように先に歩きだした。 ゆっくりと話がしたかったのもあり、個室のある居酒屋に入った。 適当に料理とビールを2つ頼み、乾杯をする。 「お疲れ様~」 グビグビと一気に飲み一息吐くと、同じように飲んでいた秋山くんと目が合う。 「ほら、どんどん食べて。」 なんとなく気恥ずかしくなって、料理を勧める。 「はい、頂きます。」 お腹が減っていたのかパクパクと食べていく姿に満足しながら、俺もビールのお代わりを注文した。 店に入ってから一時間半。 お互いに酒も入り口数も増えていく。 秋山くんはずっと笑顔で俺の話を嬉しそうに聞く。 お互いに色んな話をし、大きな声で笑い、冗談を言い合う。 けれどバカみたいな会話の中…一瞬の間ができた。 本当に一瞬だったのだと思う。 でも、俺が行動に移すには十分だった。
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