4 口付け

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一瞬訪れた沈黙に、視線を秋山くんに移すと少しはにかんだ顔をして見せて。 その表情を見たら動かずにはいられなかった。 「秋山くん、確認したいんだけど。」 グラスに伸ばしていた手を掴みそう言うと、驚いたような表情をしながらも「何ですか?」と返してくる。 「この間のこと。…『キスしたい』って本気だった?」 秋山くんが息を飲むのが分かる。 でもゴメン、俺、白黒ハッキリさせたいから、曖昧なままの関係は嫌だから。 「………」 掴んだ手はそのままに、顔を見つめて返事を待つ。 しばらく待っていたが返事はなく、あぁダメか…と諦めかけたその時、 「本気です。」 真摯な声が個室に響く。 「そう。」 自然と笑いが漏れる。 酒が入ってて良かった。じゃないと、こんなことできなかったかもしれない。 掴んでいた手を離し、席を立つと向かいに座っていた秋山くんの側に行く。 「…悠さん?」 俺の行動を目で追っていた秋山くんの胸ぐらを掴み、少し開いたその唇に俺は口を寄せた。 「……ッ」 軽く触れるだけの簡単なキス。 それでもバカみたいに体が熱くなるのがわかった。 ゆっくりと唇を離すと驚きに目を丸くさせた秋山くんの顔が目に映る。 二日前の俺もこんな顔をしていたのだろうか。 「…感想は?イヤじゃなかった?」 手を離しながら聞くと、真っ赤になりながら口元を隠す。 「…柔らかかったです。」 「そ、そう。」 …聞くんじゃなかった。すごく恥ずかしい。 「もう一回、良いですか?」 「え……!…ンッ」 声が聞こえ顔を上げた時には、もう秋山くんの熱い唇に包まれていた。
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