4 口付け

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side 蒼牙 悠さんに誘われて入った居酒屋で勧められるままに料理を食べ、酒を飲む。 吸血鬼の血を引いているからか、それとも只の体質からなのか知らないが、俺はアルコールに酔ったことがない。 悠さんが少しずつ酔いが回って、たくさん話をして、笑って、楽しそうな姿を見ているだけで十分だった。 二日前、変な別れ方をしてしまい嫌われたんじゃないかと怖くて溜め息ばかりだったのに…今はこうして笑いあっている。 本当にそれだけで十分だと思ったんだ。 「…感想は?嫌じゃなかった?」 だから急に悠さんからキスをされて、びっくりしすぎて変な顔になっていたかもしれない。 触れるだけのキスだったけど、唇が凄く熱い。 「…柔らかかったです。」 ドキドキしすぎて変な事を言ってしまった。 だけど貴方は「そ、そう。」と俯くから、その姿が凄く愛しくて。 「もう一回、良いですか?」 顔を上げた貴方に今度は俺から口付けた。 途端に貴方の香りが口に広がり、押し当てていた唇が熱をもつ。 柔らかい、 暖かい、 ……甘い。 少し離してはまた押し当てる。 頭がクラクラする。身体中が熱をもち、貴方の香りに包まれて目眩がしそうだ。 あぁ、アルコールに酔うってこういう感覚なのかもしれない。 もう一回…とか言いながら、何度も唇を押し当てているとクスクスと笑い声が聞こえた。 「ながいよ。」 そう言って俺から離れようとするから「すみません。」と素直に謝った。 「やっぱり可愛いな、お前。」 笑って頭を撫でられる。 心臓がドキドキとうるさい。 触れたい。 もっと貴方を感じたい。 だけど、まだちゃんと想いを伝えていないから… 先に動いてくれたのは貴方だから、今度は俺から伝えたいんです。 「悠さん。」 頭を撫でていた手を握り目を見つめれば「ん?」と優しく返される。 心臓が壊れそう。 もしかしたら貴方にまで聞こえているんじゃないだろうか。 握っていた手とは反対の手で悠さんの頬に触れた。 「貴方が好きです。」 想いを込めて告げる。 …どうか、ちゃんと届きますように。
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