5 嫉妬

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せっかく来てくれた悠さんに一番良い席を案内してあげたかったけど、先客がありそれは叶わなかった。 厨房にオーダーをしチラリと悠さんのいる席に目を向けると、向かいの中年男性から話しかけられ談笑している姿が目に入る。 時々、隣に座っていた俺と同じくらいの年齢の男から肩や腕を触られ、それにも笑顔で応えているのが分かった。 …… …正直、面白くない。 明らかに仕事仲間だとは分かるが、あんなに簡単に触らせて… 悠さんには警戒心が無さすぎる。 本人は全く気付いていないようだけど顔は整っているし、性格に至っては人当たりも良く男らしい。 …何より、色気が増してきた気がする。 変な気をおこされたっておかしくないのに。 あ、また…! チラチラと気にしながらも接客をこなしていると、悠さんが席を立つのが視界に入った。 二人に軽く挨拶をしてレストルームに向かう。 少しほっとしながらテーブルを片付けていたら悠さんと目が合い、その瞬間顎をクイッと動かすのが分かった。 急いでテーブルを片付けて、隣を通り過ぎようとした内藤くんをつかまえる。 「ゴメン、ちょっと抜ける。すぐに戻るから。」 そう言って食器を押し付けると、返事も聞かずに悠さんの後を追った。 レストルームは二重扉になっていて、広い洗面室からは鍵が掛けられるようになっている。 一応ノックしてゆっくりと扉を開くと、洗面台に軽く凭れかかった悠さんがいた。 「鍵」 「…え?」 一言発せられた言葉をつい聞き返す。 「…鍵掛けて。」 そう言うと、悠さんはゆっくりと身体を俺の方に向けた。 言われるままに鍵を掛け向き直った瞬間、首の後ろを掴まれ引き寄せられた―。
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