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「え~いいじゃん!お兄さん行こうよ~。」
「てか、マジイケメン!あたしらと遊ぼうよ。」
「いいクラブ知ってるんだ。いろいろサービスするよ~」
「いや、あの、すみません。行かないです。」
コンビニの入口近くで逆ナンされている男。
しどろもどろになりながら、必死に断っている。おいおい、すごいな。
腕絡ませて、上目遣い。肉食女子ってやつか?
なんとなく心の中でエールを送りながら横を通り過ぎる。
うん。ハンバーグ弁当にしよう。
胃袋と相談しながら晩飯を手早く決めレジに向かう。ビールも忘れない。
コンビニ店員の挨拶を聞きながら外に出ると、まだまだ続いていた逆ナン。
「だから、本当にすみません。お気持ちだけで。」
バカ丁寧に断るイケメンくんに、ため息が溢れた。そんなんじゃ断りきれないだろ。
「え~いいじゃん!ぜったい楽しいし~。」
尚も食い下がる女の子達は、絶対逃すかって目をしてる。スゲーな肉食女子。
仕方ないな…
「お待たせ佐山。」
後ろから男の肩を掴み、振り向かせる。
「え?」
ポカンとした表情のイケメンくん。イケメンはポカンとしててもイケメンなんだな。
「行こう。腹減って死にそう。」
イケメンくんの腕を掴み歩き出すと、「あ、はい。」と素直に着いてくる。
「え~待ってよ!おじさんも一緒でいいから行こうよ。」
おじさん!?
ふざけんな、俺はまだ28だ!
まぁ、君たちからしたらスーツ着た俺はおじさんなんだろうな…
「ゴメンね。コイツ、女に興味ないヤツだから、他あたったほうが賢明だよ。」
ニッコリと営業スマイルを向け、イケメンくんの腕を掴んだまま歩き出す。
「え~!マジ?」
女の子達の声を無視して俺は歩き続けた。
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