26 引っ越しの夜

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「おはよう、蒼牙。」 キッチンで朝食を作っていた悠さんが俺を見て笑った。 「・・・おはようございます」 ・・・あれ?普通だ。 絶対に『またやっちまった』と恥ずかしがっているか、『この絶倫!』と怒っているかのどちらかだと思っていたのだけど・・・。 キッチンの向かいに座り、料理をしている恋人を見つめた。 ・・・うん、やっぱり対面キッチンにして良かった。 部屋を決めるとき対面キッチンだけは俺が譲らなかった。 こうして料理を作ってくれる悠さんを見るのが好きだから。 それにしても、これって・・・ 「なんだよ?」 俺がニコニコと見つめていたのを訝しんだのかトーストにバターを塗りながら聞いてくる。 「いえ、新婚みたいだなぁって、幸せに浸ってました。」 素直に答えると、悠さんは一気に顔を赤く染めた。 「・・・お前、バカだろ。」 憎まれ口を叩くと悠さんは「ん、並べて。」と朝食をカウンターに置いた。
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