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チュッと音を響かせながら耳にキスをされる。
一気に顔が赤らむ。
図星を指されてしまい素直に頷くと、蒼牙がクスッと笑った。
「ま、否定はしませんけどね。」
「!!」
いや、否定しろよ・・・と心の中で突っ込んでいると、蒼牙が身体を離し俺の手からビールを取り上げた。
「そんなことより・・・ねぇ、悠さん。今日はビールじゃなくてウィスキーにしませんか?俺はそっちが飲みたいです。」
突然の話題の変化に少し戸惑う。
「ダメですか?」と聞いてくるのを不思議に感じながらも「・・・別にいいけど」と答えると、蒼牙はニッコリと笑った。
「やった。じゃあグラス出しますね。」
そう言って蒼牙は食器棚に向かう。
・・・なんだ?
やけにあっさりと引いたな。
もっと食い下がってくるかと思っていただけにホッと息を吐いた。
良かった。
これで忘れてくれたら、あとは処分するだけだ。
リビングに向かいながらそう考える。
後ろからやけに楽しそうな笑顔の蒼牙が着いてきていたことには気づかないまま。
そうして飲みはじめから数時間後。
俺のこの考えが甘かったということに気づいた時には、もう手遅れだったー。
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