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約束の時間まであと10分。
昨日と同じコンビニで悠さんを待つ。
本当に来てくれるだろうか、もしかしたら迷惑だったかもしれない。
考えれば考えるほど気分が沈む。
…俺ってこんなに女々しかったんだな。
その時、ポケットに入れていたスマホが鳴る。
画面をチェックすると『篠崎悠』となっている。瞬間、心臓がドクリと鳴った。
直ぐ様開くと
『悪い。少し遅れる。』
簡単なメール。でもそれがあの人らしい。
遅れるくらい良い。来てくれるなら、貴方に会えるなら。
『お疲れさまです。大丈夫です、お気をつけて。』
素早く返信し、コンビニに入った。
別に読みたい訳ではないけど暇潰しに雑誌を手にとる。
内容なんて頭に入らなかった。
side 悠
仕事が長引いて、気付けは約束の時間は直ぐだった。慌ててメールを送り、待ち合わせ場所に向かう。
コンビニに着くと、雑誌を立ち読みしている秋山くんの姿が見えた。
…美形だよな。
立ち読み姿なのにそれすら様になっている。
少し癖のある髪に色素の薄い肌。
俺だって低いわけではないが、それよりも高い身長。
黙って雑誌を見ている姿は落ち着いたクールな印象を受ける。
でも昨日は犬みたいだったんだよな。
クスリと笑いが溢れ、大きなガラスに近づくとコンコンと軽く叩いた。
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