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「じゃあ、けいと」
けいと……?全く名前の意味が分からないにゃ。そう思っていると私の言葉を奥さまが代弁してくれたにゃ。
「けいと?けいとって何?この子はメスなのよ」
すると、旦那さまは顎に指を添えて神妙な顔をした。
「毛糸だよ、ほら、ヒゲが毛糸っぽいだろ。だからけいと」
奥さまは、堪えていた笑いを吹き出したようにゃ。
「確かに、毛糸っぽいから、けいとだね。でも、この子一応女の子なんですけど」
「女の子だろうが、ただの猫だ。問題あるか?」
旦那さまは少し頬を赤くしながら真面目な顔を作っていたにゃ。反対に、奥さまは旦那さまをあしらう様に、ハイハイと空返事をしたにゃ。私はそれを見てると何だか面白くて、にゃぁ~と一声上げた。
「けいと、喜んでるみたい」
「喜んでる?猫の気持ちなんて分かるのか?」
「分かる。ちゃんと、この子の声を聞いてあげるの」
奥さまは私を抱き抱えると、そっと頭を撫でてくれたにゃ。
「声……ね」
旦那さまは、奥さまの言ってる事が理解できない様子だったにゃ。段々眠くなってきた私は奥さまの膝の上ですやすやと眠りについたにゃ。
「おやすみ、けいと。おやすみ」
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