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 木枯らしの吹く広場で、1組の男女が揉めている。  1人は国家にハメられた男。もう1人はハメられた男の元愛人――もとい情報屋。  2人は目下、自分たちの身に何が起きたのかまるで理解できないでいる。だからNSA――国家安全保障局――に見張られているとも知らず、無防備に会話を続けている。  何度観ても間抜けなシーンだ。特にウィル・スミス演じる主人公が馬鹿すぎる。  こいつの短絡的で、頭の悪さをこれでもかと露呈するシーンの連続にはいつもフラストレーションが溜まるものだ。  だがこの映画はそこがいい。観客のフラストレーションを溜めに溜めさせておいて、最後に用意されたからくりでかつてないカタルシスを味わわせてくれる。  俺はすっかりそのラストの虜になり、もう何度もこの作品を観るために劇場へ足を運んでいた。  『Enemy of the State』。やはりトニー・スコットがメガホンを取った作品はいい。圧倒的に外れが少ない。  俺は座席に置いたフレンチフライを貪りながら、じっとスクリーンの中の2人を見つめた。そう、まるで俺自身、2人を監視するNSAの一員になったような気分で。     
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