3.

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 むしろ屈辱のあまり破り捨ててやりたかったが、結局そうしなかったのは、もう1枚の写真を見つめたFartが嬉しそうに目を細めてやがるのが覗き穴の向こうに見えたからだ。  ……shit。  仕方がないから、破り捨てるのは家に帰ってからにしてやる。  それから俺たちは出店で適当に軽食を食べたり、無難な景品がもらえるというスタンプラリーに参加したりしながら、噴水広場の北にあるThe Great Lawnへと移動した。  〝見せたいもの〟というのが何なのか、Fartは一向に明かそうとしない。本当はそんなのただの口実で、もしかしたら俺を引き留めるためのデマカセなのではとも思ったが、そうするとFartの同性愛者説がにわかに信憑性を増して恐ろしかったので、俺はそれ以上の追及をやめた。  The Great Lawnはその名のとおり、木々が生い茂るセントラルパークの真ん中にぽっかりと開いた芝生広場だ。このパークのシンボルとも言うべき場所で、だだっ広い広場からはニューヨークの摩天楼がよく見える。  その芝生広場の北側にはステージが組まれ、秋の風に星条旗がたなびいていた。  ステージの上には白いスピーチ台。  大統領候補、エドワード・ハートの演説用ステージだ。 「もうすぐ始まるな。聞いていくか」  と、そのたいそうご立派なステージを眺めてFartが言った。     
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