3.

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 演説の時間まではあと30分以上あるにもかかわらず、ステージの前には早くも大勢の支援者が集まり始めている。中にはただのお祭り気分でやってきた輩もいるのだろうが、まあ、それにしても大した人気だ。 「俺、まだ選挙権ないんだけど?」 「社会勉強だ。来年からはお前も国政に参加するんだろう?」 「政治なんて興味ないよ。あんなのは所詮、金に汚いジジイどもが自分の欲望を満たすために政治家ごっこをしてるだけだろ」 「そいつは映画の観すぎだな。政治家が本当にそんな連中ばかりなら、この国はとっくに潰れてる。まあ、中には本当にどうしようもない馬鹿も確かにいるが」  煙草を咥え、黒い外套のポケットに手を入れて歩きながらFartは皮肉げに笑った。  風が吹いて、黄色や橙色に染まった木の葉がブワッと舞い上がる。この時期のセントラルパークは落ち葉がすごいのだ。  俺は潰れたフランケンシュタインを小脇に抱えたまま、革のジャケットの前を掻き合わせた。そうしながら、ちょっと口の端を上げて言う。 「意外だね。あんたにも人並みの愛国心があったなんて」 「最近芽生えたんだ。歳を喰ったせいかな。アメリカもまだまだ捨てたもんじゃないと、この歳になってようやく思えたのさ」 「じゃあ、それまではどう思ってたんだよ?」 「こんな国とっとと潰れちまえと、そう思ってた」 「ひでえオヤジだ」 「若気の至りってやつだな。若いうちは誰でも一度は考えるだろう?」     
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