3.

15/19

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/71ページ
 がむしゃらに走って公園を出た。  どこをどう走ったのか、俺の体の一体どこにそんな持久力が眠っていたのか、まるで分からないことばかりだ。  気づけば俺は知らない裏路地にいて、フランケンシュタインのマスクを馬鹿みたいに被ったまま、なおも走り続けていた。  視界が狭い。息苦しい。  だけどこのマスクを外したら最後、俺は警察に捕まってしまうような気がする。  だって俺は殺し屋とずっと一緒にいたのだ。  今日に限ったことじゃない。この1年、暇さえあればあの殺し屋とつるんでいた。  そんな俺を警察がマークしていたとしたら?  俺もハート殺しの共犯だと容疑をかけられていたら?  フランケンのマスクの中は、汗と涙と鼻水でグショグショだった。  なんで?  どうしてこうなった?  確かに俺は殺し屋になりたいと夢見てたけど、こんな結末を望んだわけじゃない。手酷い裏切りや、未来の大統領が粉々になる瞬間を見たかったわけじゃない。  俺はただ力が欲しかった。俺を押さえつけ、閉じ込める現実(おり)を打ち砕く力が。  だけどその力の行く先がアレだってのか?  無関係の人間まで巻き込んで何もかも焼き尽くす、あの炎が―― 「――Oops!」     
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加