3.

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 そのとき全身に強い衝撃を感じて、俺は思わずよろめいた。  何とか踏み留まろうとしたものの、勢いがつきすぎて止まれない。そのまま前のめりに倒れ、地面の上を転がった。  ……shucks(いてえ)。何とかアスファルトに手をついて体を起こしたものの、走りすぎたのか何なのか、頭がぐらぐらして立ち上がれない。 「おい、お前! どこ見て歩いてんだ!」  品のない怒声が聞こえた。立ち上がれないまま振り向くと、背後に見知らぬ2人の男がいる。  どちらもスーツに黒い外套姿の男だった。そのうちの1人がおもむろに腰を屈め、地面から何か拾い上げている。  隣の若い男が被っているのと同じ、黒の中折れ帽だった。どうやら俺はそちらの男と激突してしまったようだ。その拍子に帽子が落ちたのだろうが、しかしそのとき、俺は猛烈に気が立っていた。  そう、何故か猛烈に気が立っていたんだ。  制御できない核ミサイルを腕の中に抱いている気分だった。  そしてその核ミサイルは、若い方の男が上げたヒステリックな声で起爆した。  あのとき爆発した感情を何と呼べばいいのか、俺は今もその名前を見つけられずにいる。 「うるせえ! そっちこそちんたら歩いてんじゃねえよ、ホモ野郎(fag)!」     
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