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更に1つ、2つ、3つ、4つと降ってきた水滴は、やがて数え切れないほど足早になり、俺たちへと降り注いだ。
乾いたアスファルトが瞬く間に塗り潰され、真っ黒に変色していく。
冷たい雨はニューヨーク中に降り注ぎ、遠いサイレンの音も、街中を包む喧騒も、何もかもを呑み込んでいく。
そうして雨に打たれた俺たちの間に、一体どれほどの沈黙が積もっただろう。
やがて俺は腰を上げ、よろよろと数歩あとずさってから身を翻して逃げ出した。
あのとき無我夢中で駆け去った俺の背中を、Fartがどんな顔で見つめていたのかは分からない。
それからほどなくエドワード・ハートを殺した犯人としてセオドア・ヒンクリーという男が逮捕され、大統領選挙は予定どおり実施された。
本来なら選挙は延期されてもおかしくない状況だったが、犯人が即座に逮捕されたことと、その犯人の動機が倒錯的で選挙戦の対抗馬であるブッシュの陰謀説が否定されたこと、そして何よりそのブッシュがハートの葬儀で涙を流し、アメリカの未来について熱弁を振るった姿が全国民の心を打ったことからそうした判断になったらしい。
その選挙の結果については、敢えて俺の口から語るまでもないだろう。
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