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なら、俺は一体どうすれば良かったんだ? 不都合な真実からは目を背けて、この世は神の愛で溢れていると盲信すれば良かった?
だがそんなおめでたい逃避の中へ飛び込むにはもう遅い。俺は知りすぎたんだ。人の醜さも、この世の汚さも、神の無慈悲さも。
That sucks。
こんな世界、とっとと潰れちまえ。
俺はなおもフレンチフライを貪りながら悪態をつく。
そのときシアターのど真ん中を占拠した俺の3つ隣の席に、黒いフェドーラ帽を被った壮年の男が着席した。
それをちらりと一瞥して、俺は内心舌打ちする。
まったく空気の読めないやつだ。いよいよこれからジーン・ハックマン扮する元CIA工作員が現れて、話が面白くなるところだってのに。
「ダニー・クレイトン」
と、男は言った。
もちろん俺の名前じゃない。その証拠に、男はスクリーンを見つめたまま俺に向かって1枚の写真を差し出してくる。
だから俺もスクリーンから視線を切らず、無言でその写真を受け取った。
シアターが暗いのでよく見えないが、写っているのは見たことのない1人の男だ。髪は白に近い金髪で目は落ち窪み、彫りの深い顔つきをしている。
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