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 その骨格からして、たぶんロシア系の男だろう。だとするとダニー・クレイトンという名前は偽名か。つい最近もうちのシマにちょっかいを出してきたロシアンマフィアを2人殺したところだ。  その関係者かどうかは知らないが、この男の目はどう見てもカタギじゃない。鏡に映った俺と同じ目をしている。  ……まったく面倒だな。こういう手合いはちょっとやりにくい。  相手も手練れだからってのはもちろんだが、何より自分を殺しているような気分になるからだ。 「場所は?」 「イリノイ州トロイ、ノース・パウエル・ストリート217だ」 「イリノイ州? ずいぶんと遠いな。トロイなんて聞いたこともない」 「ミズーリ州との州境にある田舎町だ。セントルイスにほど近い」 「出張手当は出るんだろうな?」 「その男はうちの組織が長年追っていた裏切り者だ。過去に幹部を殺して逃げた。自分の目が黒いうちに必ず殺せと、ボスが直々に懸賞金を懸けている」 「なるほど。その懸賞金を俺とあんたで山分けってわけか。いくらだ?」 「12万」  ひゅう、と俺は思わず口笛を吹いた。12万と言ったら、ワシントンD.C.あたりで働くエリートサラリーマンの年収よりも上だ。  こいつと2人で均等に分けたとしてもかなりの額。当分は遊んで暮らせる。 「しかし、あのボスが12万もの大金を叩くなんてよっぽどだな。そんなに因縁のある男なのか?」     
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