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 主演は老練で冷静沈着な殺し屋を演じるロイ・シャイダーと、その相方を演じるアダム・ボールドウィン。アクションシーンはそれほどでもないが、主演2人の快演と観客をストーリーに引き込む緊張感はなかなかのものらしい。これは期待できそうだ。  通勤時間を過ぎ、客足もまばらになった駅で地下鉄を下りて改札を出る。折り畳んだニューヨーク・ポストは着古しのジーンズの尻ポケットに突っ込み、足取りも軽く階段を駆け上がった。  ブリーカー・ストリート駅から『Cinema Anthony』までは歩いて15分ほどだ。俺は途中の売店でビッグサイズのコーラと山盛りのフレンチフライを買った。  ――え? ついさっき地下鉄でターキー・ブレストを食ったばかりだろうって?  馬鹿言っちゃいけない。こいつらは映画のお供には欠かせない、最高のソウルメイトだ。 「『COHEN&TATE』、大人1枚」  お目当ての『Cinema Anthony』へ入り、カウンターに座った白髪混じりのばあさんに声をかける。料金は言われる前にカウンターの上を滑らせた。  その金をじろりと睨んだばあさんは、次いでつまらなそうに俺を見上げる。「またあんたかい」とでも言いたげな、実にふてぶてしい態度だ。  けれどそんな威嚇に怯むような俺じゃない。すっかり慣れてしまったやりとりに俺がニッと笑ってやれば、ばあさんはますます不機嫌な顔をしてチケットの半分を渡してきた。     
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