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 男はじっと少年を見ていた。  いや、見ている、というよりは、観察している、と言った方が正しい。  少年もまた、人間を警戒する野良犬みたいにじっとこちらを観察していた。  そうしながら、彼は彼と同じくらい貧相なテーブルに着いて、すっかりくたびれたハンバーガーを食べている。昨日の夕方、男が夜食にしようと買ってきて、結局食わずに冷蔵庫へ放り込んでおいたものだ。  隣には水の入ったグラスと、マカロニチーズが盛られた皿。残念ながらここには酒とミネラルウォーターはあっても、オレンジジュースやコカ・コーラなんて気の利いたものはない。これでもかなりもてなしてやっている方だ。  二人の間にはしばしの間沈黙が降りていた。  しかしやがて、男の方が背もたれを軋ませながら言う。 「どうやってこの場所を知った?」  少年はまた数秒睨むように男を見やり、やがて答えた。 「ママから聞いた」 「トリーナには、俺の居場所は誰にも漏らすなと言ってあったはずだが」 「知らないよ、そんなの。ぼくはここに行けって言われたから、来たんだ」 「セントルイスから一人でか?」 「……。一人じゃない」 「じゃあ、誰と来た」     
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