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伝えたくても、伝えられない。
俺には、好きな奴がいた。
やさしくて、可愛くて、ふにゃって笑う奴。
会ったときから、自然に惹かれてて、運命だなんて思っちゃったりして。
話していく中で段々と、仲良くなっていって、いつの間にか、いつも気付けばあいつと、あいつの幼なじみと一緒に居るようになっていて。
どんだけ俺、あいつのこと好きなんだよって、何回も思った。
あいつのとなりに俺以外の誰かが居るのがどうしても嫌だった。
俺があいつを守りたいって、ずっと一緒にいたいって思ってたんだ。
この気持ちを伝えたいって、何回も思ったけれど、臆病者の俺は結局伝えられなくて。
それに、そのときは正直、こんなに後悔するなんて思ってなかったんだ。
いつかは、ちゃんとあいつに伝えられるだろうって思ってたから。
でも、そんないつかは来なくて。これからも永遠にこないんだ。
あいつが、死んだから。
自殺だった。
あいつが死ぬなんてこれっぽっちも思ってなかったし、あいつが死んだ今でも、死んだなんて信じたくなくて。
俺は、現実から逃げ続けた。
でも、もう前を向いた。いや、向けたんだ。
あいつの幼なじみに言われたから。
「あいつは、優しいから、お前が苦しみ続ける姿を見たら安心して笑っていられないだろう。」
「だから辛くてもしっかり前を向いて生きろ、あいつの笑顔が好きだったんだろう。」って。
だから俺は、これからもずっと前を見て生きていく。今も忘れられないあいつが、幸せに笑って居られることを願いながら。
なあ、いま幸せか?元気か?
俺、おまえに伝えられなかったことがあるんだ。
だからさ、生まれ変わったらまた会おう。
今度はちゃんと伝えるよ。
おまえのことを、愛してるって。
さよなら、忘れられない人。
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