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終春賦 1945
「ここね……」
見上げた門の材木は、長い間掃除も手入れもされなかったのですっかり腐っていました。
己の重さに耐えかねて横木が崩れ落ちています。
私は、残骸のようなその門から中へと足を踏み入れました。
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山奥に近いこの家にずっと人は住んでいません。戦後から無人の家になったらしいようです。
だけど、ここにはおどろおどろしい姿をした怨霊がずっと棲んでいるという噂がたっていました。
しかも興味本位でこの家に訪れその恐ろしい姿を見た者は一人や二人ではなく、この屋敷は呪われた化け物屋敷として近隣に知れ渡っている、と私は聞きました。
そんな噂のせいか、この廃屋はまるで時代から打ち捨てられたように取り残されていました。
それでも、昨年計画された新興住宅地の新たな用地に組み入れられ、ようやく取り壊しの対象となったのです。
そんな経緯から取り壊した後に祟りでも起きないよう、除霊と供養をして欲しいと霊能力者である私のところへ依頼が来たのでした。
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