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彼と出逢ったのは高校生になったばかりの春だった。
暖かな日差しの中でスっと佇む彼は誰よりも白く美しく見えた。
僕が息を呑んで見つめていると、彼は柔らかく僕に微笑みかけて手を差し伸べてきた。
差し伸べられた手を握ると、細い指は少し冷たく、しかし握り返してきたそれはやはり男のものであった。
僕たちはあまり多くの言葉を交わすことなく、すぐに親しくなった。
彼は口数が多い方ではなかった。
だが落ち着いた雰囲気と、何よりもその眩しいくらいの美しさに僕は惹かれていた。
彼が他愛もない僕の話を聞いて微笑んでくれる、ただそれだけで楽しく嬉しかった。
一つだけ、強く頭に焼き付いて離れない出来事がある。
いつものように僕は他愛もない話をしていた、それはクラスメイトの女の子の話だったか、他の男子連中もよく上げているようなありふれた話題だった。
しかしふと僕は彼の寂しそうな微笑みに気がついた。
すると彼は僕の耳元に口を近づけて、優しく涼やかな声で「僕も女の子だったらよかったのに」と囁いたのだ。
僕は耳元で感じた彼の吐息があまりにも暖かくて、思わず顔を赤らめた。
彼は「どうしたの?」といたずらっぽく聞いてきたが、その妖艶な目付きに僕はただただ首を横に振ることしかできなかった。
思い返せば、あれは彼の一世一代の告白だったのだろう。
幼すぎたあの日の僕には分からなかった。
どこかミステリアスな奴だから……くらいにしか捉えようとしなかった。
彼はその後亡くなってしまった。
事故なのかはたまた自殺なのかははっきりしなかったが、浴槽に浮かぶ彼の裸体は驚くほどの美しさだったそうだ。
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