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今、彼は僕の後ろに立っている。
彼の本当の想いは僕にはもう届かない。
友人を失った僕の悲しみは彼に見えているだろうか。
ただ、霊となって以来目を合わせてくれない彼の、僕に対する後ろめたさのようなものは感じ取ることができる。
ここで僕の想いを吐露すれば彼に伝わるのだろうか。
しかし初めて彼を見たあの日の美しいという感情の意味を、模索できるほどには大人になってしまった。
不確かな彼の存在が、彼との確かな記憶を呼び覚まし、僕の気持ちを不確かに揺らしていく。
今日もまた、鏡越しに彼を見る。
いつか僕の気持ちが言葉になる日まで。
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