第一幕》濁り、雷鳴

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感じる。 気高く、それでいて甘ったるく無い凛とした香り。 しかし、玄参(げんさん)が求めている鬼染花(きそばな)の香りとは似て非なるものであった。 このような匂いだったか、あの華は。 匂いを追うように風上に顔を向けた。 更に濃く、花が香る。 その鳶色(とびいろ)の目には川の中州、死体の小山が映った。 死体に咲く新しい花でもあるのか、と玄参(げんさん)は皮肉っぽく笑うと木箱を背負った。 (たまには変わった花を探すのもアリか......) 堤を一気に降り、ばしゃばしゃと血の混ざる錆色の川を渡る。 死体をつつく烏など御構い無しにずんずん進むと、足をはたと止めた。
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