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そしていたら反対側にどかりと渚さんが座った。
嗚咽が酷くなる、苦しい。
「我慢するなよ波留、急ぐ必要がどこにある」
「ぅ、っ、うぅ、ん」
「無理に決別しようとするな、思い出して泣いて、また思い出せ」
「ーふ、…ぅぅ、ん、く、ぅ、うぅー」
「俺たちが全部受け止めてやる」
八潮さんと渚さんは、涙でくしゃくしゃな僕を見て、優しく笑っている。
どちらともなく涙を拭ってくれて、くしゃくしゃと僕の頭をかき混ぜる、大きな手。
渚さんから、いい匂いがした。
僕のお腹は素直で、ぐぅといい音がした。
すると、側にいた八潮さんと渚さんに声を出して笑われた。
悲しくて、寂しくて、でも可笑しくて、あったかくて、ふへへと変な風に笑ったら、二人が息を呑んだ気がした。
「今のは、駄目だ」
「あぁ、ダメだな。…俺たちをダメにする」
目元や口元を手で覆って、八潮さんと渚さんが呟く言葉の意味が、僕にはわからなかった。
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