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「愛奈ちゃんが自分のこと話すなんて珍しいわね。そっか、ダイエットか。無茶はしちゃ駄目よ。リバウンドするからね」
普段から優しくて弁舌が良いおばちゃんといった感じの店長だが、ちょっとした気遣いが嬉しくて「はい」と笑顔で返した。
自分の心持ちが変わるだけで、こんなにも世界が変わって見えるもんなんだな。
そんなことを思っていると、休憩室の扉が開く。
「おはようございます」
入ってきたのは二個下のバイトの男の子。田岡信二くんだ。
なるべく人と関わらないようにしていた私は、挨拶と仕事の話以外したことがない。
私や店長も挨拶を返すと、田岡くんは喫煙コーナーに歩いていった。
「店長、来週の日曜は単車の納車でバイト休みたいんだけど良いかな?」
田岡くんは煙草を吹かしながら問いかける。
馴れ馴れしいような言葉遣いだが、店長はまるで気にしていない。
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