第1章:ダイエット開始

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愛奈(あいな)ちゃんが自分のこと話すなんて珍しいわね。そっか、ダイエットか。無茶はしちゃ駄目よ。リバウンドするからね」  普段から優しくて弁舌が良いおばちゃんといった感じの店長だが、ちょっとした気遣いが嬉しくて「はい」と笑顔で返した。  自分の心持ちが変わるだけで、こんなにも世界が変わって見えるもんなんだな。  そんなことを思っていると、休憩室の扉が開く。 「おはようございます」  入ってきたのは二個下のバイトの男の子。田岡信二(たおかしんじ)くんだ。  なるべく人と関わらないようにしていた私は、挨拶と仕事の話以外したことがない。  私や店長も挨拶を返すと、田岡くんは喫煙コーナーに歩いていった。 「店長、来週の日曜は単車の納車でバイト休みたいんだけど良いかな?」  田岡くんは煙草を吹かしながら問いかける。  馴れ馴れしいような言葉遣いだが、店長はまるで気にしていない。
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