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「えびちゃん先輩と同学年だったらともくんって呼べて、おれ達めっちゃ大親友!」
「怖いからやめてくれる?」
「お化け屋敷一緒に行った仲じゃないですかー!パートの中でも一緒にいること多いし。」
「それは、お前と俺以外がみんな女子だから!」
旬はえびちゃん先輩をちゃんと先輩として尊敬しているからそんなことが言えるんだ。
俺はもちろん京弥さんを先輩として尊敬している。だけどその前に恋愛感情が湧いてしまっているから…
「早水先輩は葵や今城ともし同じ学年だったらどうですか?おれとえびちゃん先輩みたいに大親友ですか?」
正直、後ろの4人の話が気になって、たいちゃん達の話は頭に入っていない。
「そうだね、基紀とは打ち解ければすごく仲良くなれそう。葵が同じ学年だったら、友達になれたかな…」
「は?」
思わず俺は振り返り反応してしまった。
話の途中なのに、俺がいきなり振り向いて、たいちゃんと慎太郎は驚いている。
「葵、僕達、先輩後輩だから、仲良くやれてるのかなって思うときもあるよね?」
笑顔でそんな質問俺に振ってくるんじゃねーよ!
頭を思いっきり殴られ、腹を強打した感覚に陥る。アンタは無意識に言っているかもしれないけど、俺にとってはショックだ。
俺はアンタの恋人にはなれないと思っているのに、友達にもなれないなんて言われてしまったのだから。
俺が固まってしまったことに対して疑問に思ったアンタはこちらにやってくる。
「葵?」
俺はおもむろに立ち上がり思いっきり京弥さんの両頬を引っ張ってやった。
「いひゃいよ、あおい…」
「先輩、可愛い後輩からの愛情表現ですよ!」
同級生達からは、あの早水先輩になんて事を!という視線を向けられた。反対に先輩達は爆笑している。
「やっべー!京弥、面白い顔! 」
そうだな、アンタにこんな感情向けてりゃ、友達にすらなれねーよ!
だけど、アンタの事が大好きなんだ!
きっとお前らには仲の良い先輩と後輩にしか見えてないんだろう。
俺は京弥さんの頬から手をパッと離す。
「愛情表現は終わりですよ、京弥先輩?」
「あ…」
何悲しそうな顔してんだ。悲しいのは俺の方だっつーの。
京弥さんがボソリと、葵に先輩って言われた…と呟いたのを聞き逃さなかった。
いつもさん付けの俺から先輩って言われて、距離感を感じたのか?
少しは傷ついてろバーカ!と思ったが惚れた弱みというやつか、次アンタを呼ぶときはいつも通りになっていた。
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