門出の時に

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京弥さんはを生姜とネギの焼きそばと、温野菜サラダと、スープを作ってくれた。 相変わらず美味しい。 「手際よく作っちゃって、すごいよな。しかも、美味しいし。」 「涼太さん、自炊してます?」 「アレを自炊と言っていいか分かんないけど、ご飯だけは炊いてる。おかずがなー、一人分だと余っちゃうし。」 「作り置きすればいいのに。」 「簡単にできるものとかある?」 「レシピお渡しできるように準備してきます。」 「ありがと助かる。」 京弥さんの顔つきは、卒業式の時よりも穏やかなものになっていた。 大学が決まって安心したのだろう。てゆーか!俺達、おめでとうって言ってなくね? 「えっと、涼太さん…その、京弥さんにおめでとうって…」 サラダの人参を頬張っていた涼太さんは固まり、箸を置く。 「ごめん、言ってない…」 スマホの電源が切れていた事件で、おめでとうを伝えるのを忘れていた。 「京弥、合格おめでとう。そして、お疲れ様。」 「おめでとうございます。」 「2人共、ありがとうございます。」 満面の笑みでお礼を言う京弥さん。これでこそハッピーエンドだ。よかった、もしかしたら、俺が贈ったスプーンの栞の効果もあった?かも…と自惚れてしまおうか。 「理系は大学生になったら、レポート、レポート、レポートだから頑張れ。」 「そうですよね。覚悟はしています。」 「入学式の準備とか。まだ、時間あるから大丈夫だとは思うけど。おれは時間なかったから、急いでスーツ買って、家決めて…だったから。」 「今日、合格してたら、父と母と夜にごはんに行くのでってなってたので。その時にスーツも見てこようかな。あと、新幹線の払い戻しも…」 「そっか、そうだよな。おれ、今日、このまま一緒にお泊まり会するつもりでいたわ。」 俺も京弥さんと一緒にいたい。部活がなくて、思いっきりサックスの練習が出来ないのは悲しいけれど、このチャンスを逃してはならない。 「あ、あのー、京弥さん明日暇だっりします?せっかく涼太さん来てますし…もし良かったら、明日泊まっていきます?」 「いいの?」 「おれも、またもう一泊いいの?」 「はい。」 「でも、男が2人も追加になったら、おばさん達にちょっとご迷惑じゃ…」 そんな事ないですよ、多分、この2人がいてくれたら特に母親が大変喜ぶだろう。
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