門出の時に

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「江ノ島詳しいんですね。」 「高校生の時によく来たから。ほらユーフォのさ…」 「筒井先輩ですか?」 「そ。おれの親友。京弥はさ、祐介とかとよく一緒に行った場所とかないの?」 「祐介が建物見るのが好きで、よく文化財とか一緒に見に行きました。結構遠くまで行ったりして楽しかったです。」 「移動の時間もあの調子で喋ってんの?」 「2人になると話さないことも多いです。」 涼太さんは驚いた顔をしている。あの祐介さんが黙っているなんて…ということだろうか。 「気まずくならない?」 「それが無理なら、もうとっくに僕が祐介に見放されてるかも。」 「京弥、いい友達持ってんじゃん。」 京弥さんは少し照れくさそうに、ありがとうございます、と言う。 友達を褒められると自分の事以上に嬉しくて、そして恥ずかしいのは俺だけかな? もし、アンタが誰かに早水君の後輩っていいねと褒められたら今みたいな反応をしてくれるのだろうか。 アンタにとっての高校3年間の中には俺はどれだけの割合を占めているんだろう。部活の後輩との思い出と親友との思い出だったら、親友の方が勝つのだろうか。 すると京弥さんは思い出したかのように、あっと言う。 「そうだ、祐介も僕が合格した大学のご近所の大学に受かりました。」 ひっつき虫は大学までひっつき虫だったか。もう、ここまでくると天晴れだ。 涼太さんがオススメのお店でランチして、俺達は海鮮丼を食べる。 新鮮なイカやエビ、なんていう名前の魚か分からないけれど、白身魚がのっている。 「日本に来て、改めて魚って美味しいって思いました。」 「昼がお魚だけど、夜も魚食べる?たこ焼きだけじゃさみしくない?白身魚のトマトソース煮込みとかなら簡単にできるよ?」 俺はイカを頬張りながら首を縦にふる。 「美味しそう。群馬行ってから自分で魚料理なんてしてないな。シーフードミックスは使うけど…あとは出来合いのアジフライとかになっちゃう。」 「じゃあ、折角なので帰りに魚買って帰りましょう。ジュースとかもないので、帰りにスーパー寄りたいです。」 「京弥はなんでもできちゃうんだな。」 「そんなことないです。慣れです、慣れ。」 家に帰ったらレシピお渡しますから、明日にでもできるようになりますよ?と京弥さんは言った。
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