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そして、俺の中で今、新たな問題が勃発した。
どこで誰が寝るか…というものだ。
俺は敷布団で寝るとして、この先輩2人はどこで寝てもらうか…
俺の個人的な意見としては、1番先輩の涼太さんには申し訳ないが出来れば彼に敷布団で寝て欲しかった。
この部屋の主は、俺にとっては恋愛対象の人である。健全な男子高校生にとって好きな人の隣で寝ることは夢のようなことだけど、ただでさえ好きな人の部屋で寝るという興奮するなと言われてもせざるおえない状況の中でこれ以上の興奮材料を提供して頂かなくてもいいかな?と思う。
「涼太さんはベットで寝てください。」
やはり、アンタは俺の期待を裏切るような発言をしてくれる。
「え、悪いよ。おれ、おじゃましてる側だよ?」
「そ、そうすっよ!家主がベッド使って…」
俺も必死に涼太さんがベッドを使うことをオススメする。あまりにも必死すぎて、涼太さんはこちらを見ている。
「玲さんと一緒に来てくれたとき、玲さんがベッド使ってくれてましたよ?」
「そうだっけ?あー、そうだったね。でもさ、」
涼太さん、負けないでくれ!俺のためにも!と叫びたくなる。
「一番先輩なんですから、気にしないで。」
「そこまで言うなら…」
仕方ないね、と涼太さんはベッドに登ってしまった。
その瞬間、俺の中で理性との戦いのゴングが鳴った。
負けない、俺は俺に負けない。
思えば、京弥さんと同じ部屋で寝るのは人生で2回目だ。そう、雨の日に泊めてもらった時以来…合宿の時だって、ルールではなかったけれど部屋は同じ学年の人間同士だった。
布団に潜り込んでも、こんなに目が冴えることなんて今までなかった。
至近距離にアンタがいる、そう思うだけでアドレナリンが全開だ。以前泊まらせて貰った時も非常に興奮したが、その時はベットと敷布団である程度距離は離れていた。だけど今は手を伸ばせばすぐ隣にアンタがいる。
2人が会話している声が聞こえる。いや、もしかしたら俺もその会話の中に入って返事をしていたかもしれない。
「おれが言えた事じゃないけど、大学生になるんだから毎日私服で通学するんだし、服買ったら?いつも同じの着てない?」
「そうですね、でも、何着たらいいか…」
「ね、葵ちゃん、京弥っていつも同じような服だよね?色もさ、黒白紺色って感じ。」
2人は服の話をしているのがわかった。
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