618人が本棚に入れています
本棚に追加
翌朝、眼が覚めると朝の10時だった。
もう先輩2人は朝食を食べ終えて、コーヒーを飲んでいた。涼太さんはほぼ牛乳といっていいようなカフェオレだったが。
朝方にようやく寝ることができた俺は、昼近くまで眠りこけてしまった。
朝早く起きて、京弥さんのお母さんにご挨拶するべきだった。でも、彼女ももう出勤してしまっているそうだ。
「す、すいません…おはようございます。」
「おはよう葵ちゃん、よく眠ってたから起こすの可哀想かなって思って。」
「葵、朝ご飯食べる?」
京弥さんに声をかけられると、昨晩、自分がしたことが蘇り、顔が熱くなった。
「葵?」
「は、はい。いただきます。」
「どうしたの?葵ちゃん、顔真っ赤だけど…熱とかない、よね?」
涼太さんが心配そうに俺を見ている。
「非常に元気です。ご安心を。」
熱はない。ただ、恥ずかしいだけ。
燻っていた想いが爆発してしまっただけだ。
俺が朝食をとっている隣で、先輩達は今日はどうしようか?と話している。
涼太さんは、京弥オシャレ計画をするために駅ビルに行こう!と言っている。
「葵ちゃーん、紅茶淹れてよ…苦いよコーヒー!」
「こんなに牛乳入れたじゃないですか…」
「ご飯食べ終わったら、紅茶を淹れさせて頂きます。」
涼太さんが苦いと騒いでいる隣で、京弥さんが昨日俺がキスした方の掌で額を触っている。
「ど、どうしたんですか?」
多分俺が原因なのだろうとは思ったけれど、声を掛けてみた。
「なんだろう、朝起きたらおでこがあったかい気がして。」
「京弥こそ、熱あるんじゃない?」
「熱くはないんですけど、あったかいんです。」
「あれ?葵ちゃんまた、顔が赤いけど…本当に大丈夫?」
ああ、額は俺がキスしたところじゃないか。
そこがあったかい、とか…
くすぐったいような、嬉しいような、でも、恥ずかしいような気分になった。
京弥さん、高校卒業おめでとうございます。
だけど、高校を卒業しても、大学へ入学しても、どこに行っても、アンタは誰にもあげないよ?
だって、アンタは俺にとって一番大切な人だから。
最初のコメントを投稿しよう!