門出の時に

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翌朝、眼が覚めると朝の10時だった。 もう先輩2人は朝食を食べ終えて、コーヒーを飲んでいた。涼太さんはほぼ牛乳といっていいようなカフェオレだったが。 朝方にようやく寝ることができた俺は、昼近くまで眠りこけてしまった。 朝早く起きて、京弥さんのお母さんにご挨拶するべきだった。でも、彼女ももう出勤してしまっているそうだ。 「す、すいません…おはようございます。」 「おはよう葵ちゃん、よく眠ってたから起こすの可哀想かなって思って。」 「葵、朝ご飯食べる?」 京弥さんに声をかけられると、昨晩、自分がしたことが蘇り、顔が熱くなった。 「葵?」 「は、はい。いただきます。」 「どうしたの?葵ちゃん、顔真っ赤だけど…熱とかない、よね?」 涼太さんが心配そうに俺を見ている。 「非常に元気です。ご安心を。」 熱はない。ただ、恥ずかしいだけ。 燻っていた想いが爆発してしまっただけだ。 俺が朝食をとっている隣で、先輩達は今日はどうしようか?と話している。 涼太さんは、京弥オシャレ計画をするために駅ビルに行こう!と言っている。 「葵ちゃーん、紅茶淹れてよ…苦いよコーヒー!」 「こんなに牛乳入れたじゃないですか…」 「ご飯食べ終わったら、紅茶を淹れさせて頂きます。」 涼太さんが苦いと騒いでいる隣で、京弥さんが昨日俺がキスした方の掌で額を触っている。 「ど、どうしたんですか?」 多分俺が原因なのだろうとは思ったけれど、声を掛けてみた。 「なんだろう、朝起きたらおでこがあったかい気がして。」 「京弥こそ、熱あるんじゃない?」 「熱くはないんですけど、あったかいんです。」 「あれ?葵ちゃんまた、顔が赤いけど…本当に大丈夫?」 ああ、額は俺がキスしたところじゃないか。 そこがあったかい、とか… くすぐったいような、嬉しいような、でも、恥ずかしいような気分になった。 京弥さん、高校卒業おめでとうございます。 だけど、高校を卒業しても、大学へ入学しても、どこに行っても、アンタは誰にもあげないよ? だって、アンタは俺にとって一番大切な人だから。
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