伝えたい想いは、サックスの音色と共に…

さよならアルトサックス

「葵ー、今日のうちに飛行機のチケットとかもう一回確認しとくのよ？」
「へいへい。」
空輸できるものはもう送ってあるし、持っていくのは財布とスマホと、相棒のアルトサックスだけだ。
高校を卒業して、みんなが大学進学や就職や浪人をしている中、俺はイギリスの学期始まりを待つために約半年バイト生活をして、専門学校の学費とイギリスでの生活費を貯めた。
「早かったな３年半。」
8月…お盆の少し前。
窓の外を見るとジリジリと火傷しそうなくらい太陽が光っている。

そう、明日、俺は日本を発つ。