第1歩 清々しさ、それを待っている。

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第1歩 清々しさ、それを待っている。

──ずっと、何かのために熱くなる人が苦手だった。 だって、見ていてすごく辛そうだし、キツそうだし、暑そうだし、それにすごく・・・怖い。 夏休みまで、グラウンドや体育館で活動してる姿は、確かに憧れる部分もあるけど。 汗だくになって、家で地獄のような思いをするよりは最初から涼しい部屋でアイスを食べていたほうが好き。 今だってほら、こうして高級アイスに舌鼓を打ってるし。 ──そう、今は夏休み。 青春を謳歌しているであろう、高校2年生の夏。そんな夏に、私は何をやってるんだろう・・・。 今思えば、高1が結構楽しい夏だった気がする。私も部活に入って、汗だくになって、家に帰ってから地獄のような思いをして。 それがいつのまにか、こんな体たらくになってしまった。 元々、スポーツと言うのが性に合っていなかったのかもしれない。 たったの半年で辞めたバレーは、それでもキツかった思い出しかない。 まず暑いでしょ──それから汗の量が半端じゃないし──それに女子って怖い。これマジで。 バレーっていう協調性が重視されるスポーツで、女子というのはコート上でだけそれを発揮する。 その他はグダグダすぎてビックリした。 窓から見える学校の校舎を眺めながら、懐古の想いに耽っていると、手元のアイスが溶け始めてきた。 私が住んでるこの団地は、坂の上の方にある。 逆に、坂をくだった所にある学校は、ここからよく見えるのだ。
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