Chapter1 日常

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桜の木の下で、足を投げ出して座る。 (つまらない。) もう随分前から、変わりばえのしない同じような毎日にうんざりしていた。 丘の上からはうちの様子がよく見える。 見るともなしに家を見ていると、玄関が開いた。 母親だ。 パート先に向かう母親は、まさか娘が学校をサボって丘の上から自分を見ているとは思ってもみない様子で自転車にまたがって漕ぎ出すと、あっという間に道の向こうに消えた。 (帰ろ。) 誰もいないことがわかっているので、堂々と家に入る。 そうだった。 私が気に入ってるもの、もう一つあった。
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