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Chapter3 箱の中
「ねえ、これどうする?」
「新しいおもちゃじゃない?押してみる?」
周りでガヤガヤと話す声が聞こえる。
朦朧とする中、目を開けると・・。
なんと、うさぎとねずみが覗きこんでいるではないか。
「誰!」
ビックリして飛び起きると
「見てわかんないかなあ。どう見てもねずみでしょ。」
と、呆れ顔のねずみが見下ろしている。
目の前には赤い屋根の家。
その家に続く道の両側には、色とりどりの石が光っている。
いや、石ではなくビーズが。
「うそでしょ。」
思わず声が出る。
どうしてかわからないけれど、私は今箱の中にいる。
落ち着こう。
「誰って聞いといて自分は名乗らないの?」
ねずみが言うと、他の動物たちも注目する。
「和美」
小さい声で答えるや否や
「へんな名前!」
と、動物たちがゲラゲラ笑い出す。
箱の外では愛しい気持ちで見ていた動物たちが、今では全然そう思えない!
なんていじわるなんだろう。
これじゃあキライなクラスメートたちと変わらない!
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