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Chapter4 箱の外
目を開けると、そこは見慣れた自分の部屋だった。
いつのまにか眠ってしまっていたんだ。
当たり前だ。
アリスじゃあるまいし、不思議の国に行くわけないか。
押入れに視線を向ける。
戸を開けると目の前に大きな箱がある。
フタに手を伸ばした瞬間
「見られている時はこの世界の時が止まるんだよ。」
うさぎの言葉が頭をよぎる
一瞬迷って、フタを開けるのをやめた。
「和美!帰ってるの?
おやつあるわよ。下に来なさい。」
下から呼ぶ声がする。
いつもはうるさく感じる母親の声が、今はほっとする。
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