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Chapter1 日常
今日も桜がきれい。
古い家だけど、窓から見えるこの景色だけはちょっと気に入ってる。
目の前に小高い丘があり、窓から見上げるといつも、丘の真ん中で満開の桜が誇らし気に咲いているのだ。
でも・・。
気に入ってるのは窓からの景色だけ。
家も学校もキライ。
「和美!早く朝ごはん食べなさい。遅刻するわよ!」
下から母親の呼ぶ声。
毎朝よく飽きずに同じセリフが言えるものだ。
他にも
「勉強はしてるの?」
「部屋を片付けなさい。」
「聞いてるの?和美のために言ってるのよ!」
はいはい。
「和美のため」
が口ぐせだけど、本当は自分の手間が増えるのがいやなだけでしょ。
下に行き、「朝ごはんいらないから。」と言って玄関で靴を履く。
後ろで母親がいつまでも文句を言っているが、無視して玄関の扉を閉めた。
(学校行きたくないな。)
授業は面白くないし、本音を言える友達もいない。
足は自然と、学校とは反対にある桜の丘に向かう。
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