3人が本棚に入れています
本棚に追加
第一章
「なぁ聞いたか? アルケミスの話」
「あぁ聞いた聞いた。と言うより試合見てたわ」
「俺も見てたけど、あれはチームの意味を成してなかったよなぁー」
「だな。一方的でほぼ蹂躙劇だった」
「お前も見てたのかー、やっぱ気になるよな」
「当たり前だろ、亡霊が相手となれば誰もが見たくなる。入場制限ギリギリで危なかったけどな」
クラスの連中が昨日行われたTTFOの非公式大会の話で盛り上がっている。
かなりざわついてて寝るに寝れない……。
「ふぁ~……」
「なぁに月曜日の朝からねてんの、アキラ。これから一時限目だぞー」
「……昨日夜更かししましたー。これで良いか? トモエ」
同じ中学から仲良くなった腐れ縁と呼べる間柄の友達――橋岡友恵。
腐れ縁が功を奏し、同じ1年B組となったクラスメイトで席が右隣の女子。腐れ縁が功を奏しってなんだよ。
そのトモエがホームルーム後の安眠を妨害して来た。トモエじゃなかったら眼飛ばしてたかも。
「まぁたTTFO? 昨日大会だったんだっけ。出てたの?」
「非公式のな。出てない。でも気になる選手が出てたから見逃す訳にはいかなかったんだ。チームの二人も最後まで分析を続けてたしな」
非公式大会とは、ストリーマー個人が大会を主催し、チームを募り開かれる小規模大会の事だ。
各ストリーマーによって賞品は様々だが、スポンサードされているストリーマーからの賞品はかなり魅力的な物があったりして、それ目当てに出場するアマチュアゲーマーチームは勿論の事、出場OK出された場合はプロゲーマーも参加して来ると言うかなり熱くなれるイベント。
その大会ではゲームステージをカスタムして時間調整(短縮)、ステージの広さ調整(縮小)し、短い時間の中で行われる一夜限りのイベントだ。
だからかなりの出場者が集まった場合は2週に分けられたりする時もある。
それか夏休みとかお盆休みとかを使ったりと、2日間、3日間とか。
公式の大会は一週間丸々予選に費やして、また一週間を本戦に、そして3日掛けて準々決勝から決勝までって流れが主流なくらい大規模だ。
非公式大会は家からインすれば出れるが、公式大会は不正を考慮して決まった会場で行われる為、主に海外が主流。アメリカだな。
その非公式大会に亡霊――『rei』の出場が決まっていた事をその日主催からSNSで告知され、見逃す訳にはいかなかったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!