第一章

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第一章

「なぁ聞いたか? アルケミスの話」 「あぁ聞いた聞いた。と言うより試合見てたわ」 「俺も見てたけど、あれはチームの意味を成してなかったよなぁー」 「だな。一方的でほぼ蹂躙劇だった」 「お前も見てたのかー、やっぱ気になるよな」 「当たり前だろ、亡霊が相手となれば誰もが見たくなる。入場制限ギリギリで危なかったけどな」  クラスの連中が昨日行われたTTFOの非公式大会の話で盛り上がっている。  かなりざわついてて寝るに寝れない……。 「ふぁ~……」  「なぁに月曜日の朝からねてんの、アキラ。これから一時限目だぞー」 「……昨日夜更かししましたー。これで良いか? トモエ」  同じ中学から仲良くなった腐れ縁と呼べる間柄の友達――橋岡友恵。  腐れ縁が功を奏し、同じ1年B組となったクラスメイトで席が右隣の女子。腐れ縁が功を奏しってなんだよ。  そのトモエがホームルーム後の安眠を妨害して来た。トモエじゃなかったら眼飛ばしてたかも。 「まぁたTTFO? 昨日大会だったんだっけ。出てたの?」 「非公式のな。出てない。でも気になる選手が出てたから見逃す訳にはいかなかったんだ。チームの二人も最後まで分析を続けてたしな」  非公式大会とは、ストリーマー個人が大会を主催し、チームを募り開かれる小規模大会の事だ。  各ストリーマーによって賞品は様々だが、スポンサードされているストリーマーからの賞品はかなり魅力的な物があったりして、それ目当てに出場するアマチュアゲーマーチームは勿論の事、出場OK出された場合はプロゲーマーも参加して来ると言うかなり熱くなれるイベント。  その大会ではゲームステージをカスタムして時間調整(短縮)、ステージの広さ調整(縮小)し、短い時間の中で行われる一夜限りのイベントだ。  だからかなりの出場者が集まった場合は2週に分けられたりする時もある。  それか夏休みとかお盆休みとかを使ったりと、2日間、3日間とか。  公式の大会は一週間丸々予選に費やして、また一週間を本戦に、そして3日掛けて準々決勝から決勝までって流れが主流なくらい大規模だ。  非公式大会は家からインすれば出れるが、公式大会は不正を考慮して決まった会場で行われる為、主に海外が主流。アメリカだな。  その非公式大会に亡霊――『rei』の出場が決まっていた事をその日主催からSNSで告知され、見逃す訳にはいかなかったんだ。
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