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「だって俺、お前のことストーキングしてたもん。お前、全然夜遊びしないのな」
最も、長期休み利用してだから、そんなにしょっちゅうってわけにはいかなかったけど、とか……
胸を張って恐ろしいことを口にして、ついでにニヤニヤしながら余計なことを言う。
そんなこと言われて、さすがに目が泳いだ。
ストーキング!?
マジで? こいつ……、何考えてんだ……?
俺が口をあんぐりしたまま固まっていると、酒井は怖いほど鋭い瞳で真っ直ぐ見つめて来た。
その、もの言いたげな薄茶の瞳は、あの頃からちっとも変わっていない。
2年間というギャップを、いとも簡単に飛び越えてしまう。
いや、当たり前か。
こいつの言っていることが本当なら、酒井にとって俺は2年ぶりなんかじゃない、ってことだ。
「酒田、あのさ、あの雪の日、お前さ…」
「おまえ、ホントに東京に来てたのか?
…なんでだよ?
一度だって、なんの連絡もくれなかったじゃないか……」
俺は、ずっと……
酒井の言葉を遮って、俺は問いかけた。
けれどその言葉は、独り言みたいに宙に消えた。
この先の言葉は、……言いたくない。
言えるわけない。
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