魂の片割れは

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~~~~~~ 「あのさ、人間は『自分の魂の片割れを探して彷徨っている』って聞いたことない?」 酒井は俺の質問にも、さっきの自分の言いかけさえ無視して、勝手に話を切り出した。 「はぁ?」 「昔、人間は2つの魂を持っていたって話。 魂だけじゃない。姿形も2人分だったんだ。 2人で1つだった人間は、知恵が働いて、動くのも早くて、いつの間にか神を恐れなくなった。 それで、神は人間の身体を真っ二つにしてしまった。 神を恐れる弱い存在にするために。 1人になった人間は、神の思惑通りとても弱くなったんだ。 片割れがいないと生きていけない、と思うほどに。 だから、人間は今でも、片割れを探し続けている。 引き合う魂の力を信じて」 「知ってるよ。ギリシャ神話だろ。だからなんだって言うんだよ。 まさか、お前の片割れは俺だって、言うんじゃないだろうな」 俺は牽制してやった。 いい機会だ。言ってやろうじゃないか! 「あいにく俺は、ロマンチスト主義者じゃない。 この際だから、お前に教えてやる。 人間の感情なんてもんは、燃えるだけ燃えてその後は、灰が残るだけだ。 物質が燃え上がるのと同じ、ってこと。 残るのは、燃えカスだけ。 お前が期待してる俺の魂に、片割れなんかいない。俺の魂は燃えカスだから」 俺は立ち上がって、上から酒井を見下すように睨みつけた。
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