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「とりあえずさ、寒いし。どこか入る?」
酒井は俺の腕を掴んで、周りを見渡した。
「あぁ、そうだな。まあ、どこでもいいけど…」
「じゃあ、コンビニ? あの夜の仕切り直し、ってことで」
酒井はニヤリと微笑む。
それがなんだか意味深な顔に見えて、俺は目が離せなくなった。
今俺たちは、特に都心に近いわけじゃない人気の少ない駅前にいる。
ついでいえば、普段俺が利用している駅なわけで……
必然と、俺が住んでいるアパートの側でもあるこの場所に、どうして酒井がいたのか。
その理由とその流し目に、意味があるのか。
余計な期待をしたくなる頭を振り、俺は酒井の顔から目を逸らし、無言で近くのコンビニへと足を運んだ。
一緒に過ごした、ほんの半年程度の日々が、チカチカと鮮明に蘇ってくる。
2年前の、あの雪の夜と同じコンビニチェーン店の光が、デジャブのように目に飛び込んできた。
やめろ!
あれから2年が過ぎた。
この時間が埋まることなんて、絶対にないんだ。
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