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「匠くんに最近彼女が出来て一緒に帰れなくなったのがちょっと寂しいなって思ってるんだ」
「相川先輩彼女出来たの?!」
「本当に最近だから、知ってる人少ないと思う」
あゆの事だからきっと私が彼に好意を抱いている事を知っているはず。
彼女はただ言わないだけで、今までもさり気なく気を遣ってくれていたりしていた。
「あゆは大雅くんと仲直り出来た?」
「それが昨日家まで来て、ケーキ持って謝りに来たんだよ」
明るく笑って話すあゆが正直とても羨ましかった。
上手くいかない自分とどうしても比べてしまう。それが自分の悪い所だと分かっていながらも中々直す事が出来ない。
「でも桜も災難だよねえ、テストまで鬼教師の所で補習とか!」
「あ、うん、本当に私もそう思う」
今までは、芹沢先生の事がとても苦手だった。
表情は変わらないし、生徒に対して冷たいくらいに厳しい。
だけど匠くんとの出来事があってから先生とよく関わるようになって、私たちが思っている程冷たい人では無いのではないかと思うようになった。
だから、補習に関してはそこまで嫌だとは思っていない。
(むしろ、ちょっとわくわくしてる……?)
「桜!ちょっと良いかな!」
声のした方を見ると匠くんが私に手を振っているのが見えた。
私の中に多少の気まずさがあるものの、嬉しさが勝って急いで駆け寄った。
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