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第2話 : 変わりゆく日常
静寂な空間に着信音が鳴り響く。
(うそ…匠くん…)
昨日の今日で傷心を全て癒せるわけでもないし、彼のことを完全に幼馴染みとして見るのも今は厳しい状態。
彼が見ている人は私ではないのに、気にかけてもらえるとやはり胸が高鳴る。
なかなか出れずそのままじっとしていると一旦着信音は鳴り止むけれど、また再度掛かってくる。
いつも一緒に登校していた私たちの間に今回のような、日直や委員会以外での理由で登校しないというは一度も無かった。
だから彼はきっと心配して掛けてくれたのだろうと私は思った。
「出ないのか?」
「後で話すんで…多分大丈夫ですよ」
先生はそれ以上何も言わなかった。
気付けば予鈴が鳴る十分前で。
「先生、残りのパン全部あげます」
それだけ言い残して私は準備室を出た。
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