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「山崎さんが女性と話してるのをそこでたまたま見かけたんですよ。土方さんが『後ろ姿しか見えねえが、あのうなじは間違いなく美人だ……』って舌舐めずりして言うからどんな方かなーと思って」
「えぇ~……」
っていうか、土方さんもいるのかよ。
山崎は嫌そうな顔をしてさりげない動作で自分の後ろに少女を隠す。
「舌舐めずりなんてしてねぇだろうが!!見ろ!!2人ともドン引きじゃねーか!!」
「いてっ!」
だめだ、この鬼は怒りで理性がキレると初対面の女性の前でも平気で部下を殴るや……。
「おー、いてて…………あれ?貴女は……」
頭をさすった沖田は、山崎の後ろにいる少女と目が合う。
少女は首を傾げてしばし考え込んだあと、思い出したようにハッとしてから笑顔になった。
「お久しぶりです!最近お見かけしないので、子どもたちもみんな心配してますよ、"惣二郎さん"」
「あー、やっぱり!」
なんだどうしたと土方も山崎も2人の顔を交互に見る。
「彼女は星詠神社の巫女さんです。あそこは敷地が広いので、屯所からはちょっと遠いんですけどよく子どもたちと遊びに行くんですよ」
沖田が土方に紹介した。
「巫女?烝の知り合いか?」
「あ~…………まぁ…はい……」
「ハッキリしねえな」
この人には会わせたくなかったのに。
「え~と……妹……みたいな……なんかそんな感じですかね~……」
「妹ォ!?」「似てない……」
土方と沖田の声が重なった。
山崎は深いため息をついて目元を抑える。
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